管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

真空管アンプ作りを始めよう その2 アプローチ・構想

 

自作へのアプローチ

 

ネットの海を漂い(古い表現だなおい)、色々な真空管アンプについて調べてみましたが、さて、どーしようか。

ひとくちに真空管アンプの自作、と言っても、それにはいくつかのアプローチがありそうです。

 

その1:メーカーが販売しているキットを買って作る

おそらくコレが一番安全で確実なアプローチでしょう。

すでにプロの手によって回路が設計され、必要な部品は全てセットになっています。

指示書に従って部品を組み立て配線する事で、大きな間違いを犯さない限り実用に耐える「ちゃんとした」アンプが出来上がります。

外観的にもクオリティの高いキットがたくさん販売されています。

メーカーによっては作成支援や有償サポートを展開しているので、万が一のトラブルの時も「金で解決」という最終手段が使える、と。

なるほど安全安心堅実確実焼肉定食、素晴らしいアプローチだと思います。

 

その2:回路図をコピーして作る

真空管の自作を指南する書籍には、回路図とその作り方が掲載されているものが殆どです。

また、ネット上には諸先輩方の設計された回路図が惜しげも無く公開されています。

コレをコピーして作れば、回路図を読み違えず、実際の制作で正しく配線、配置する限り、やはりちゃんと動くアンプが出来上がるでしょう。

ただし、個人が公開している回路を使用したとして、何かあったからとその人にサポートを求めることはできないと考えるのが当然。

全てを自己責任において行い、トラブルも自己解決しなければならないと考えるべきでしょう。

もちろんなんのノウハウもない状態では、配置や配線、間違い勘違いによる各種の不良に悩まされる事請け合いですし、単に回路図をコピーしたのでは、もしなんらかの間違いが回路図に紛れ込んでいても判りません。

ミドルリスクミドルリターンのイメージです。とはいえ外装や部品にある程度の自由度を得られるというのは、大変に魅力的なアプローチでもあります。

 

その3:自分で回路を設計して作る

回路を自分で一から設計するパターンです。

諸先輩方や雑誌の回路は参考にするけど、まるっとコピーはしない。あくまでも参考にするだけ。ぜんぶじぶんでかんがえる。

真空管に触った事もない僕がやるのは無謀ですか?無謀ですよね。そう思います。

でも、どーせ自作するなら、回路ごと自作してみたくない?

自分で設計した、自分だけの、とかいうセリフ、吐いてみたくない?

男子ってそういうものじゃん?

ハイリスクハイリターンです。ん?リターンは何かって?

そらあれですよ、このアンプは自分で設計したんだぜ、という自己満足と優越感に満ちたセリフを自分と友人に向かって吐けるというただその一点ですよ。

 

それに、その2で書いた様に、メーカー製のキットを作るのでない限り、回路を理解しなければ自分でトラブルを解決するなんて出来ないでしょうし、きちんと回路を理解できているならば、自分で作った回路でもそれは同じはずです。

 

むっちゃ勉強しなきゃいけないと思いますけど。

キットを買って作った方がよくね?

 

しかし、どうにも僕には不安があるのですよ。

キットを使えば、アンプを作ることはできるでしょう。

それなりに満足の行く音も出せるでしょう。

 

でも、根っからのめんどくさがりである僕のこと、アンプがどうして動いているのか、なぜこんな回路になっているのか、というところは勉強する気にならず、したとしてもものすごーく中途半端な理解に終わってしまいそうな気がしてならないのです。

 

だったら、作る為に勉強して理解しなきゃいけない第3案を採用しようよ。

 

というわけで、初めての真空管アンプフルスクラッチすることにしました。

とはいえ、諸先輩方や雑誌の回路を全く見ないなどという事ではなく、これ以上ないくらい参考にさせていただきますとも。ええもちろん。

 

 

どういうアンプにするか

 

まずはっきりしていることは、

「我が家にはレコードはおろかCDプレーヤーすらない(キリッ!」

という事実です。

 

まぁそのうちCDプレーヤーとか買うのでしょうが、現状で使えそうな音源は、ケータイ(Android)のヘイヤホンジャック、ノートPC(Thinkpad X1)のヘッドホンジャックくらいなものです。

 

築50年の賃貸マンション暮らしですから、たとえ休日といえど爆音でスピーカーを鳴らす様なことは殆どないと考えて良いでしょう。

スピーカーも現在持っていませんので、そのうち手に入れる必要があります。

スピーカーについてもさっぱり知らないので、今のところぼんやりと「10センチか12センチくらいのフルレンジ一発のスピーカーかなー」くらいの認識です。

 

23区内とはいえ部屋はかなり静かな地域にありますので、音量さえ気をつければ音楽を聴く環境としてはそれほど悪くなさそうです。

 

したがって、それほど高出力である必要はないけど、前に聴いた真空管アンプらしい(という表現が合っているかどうか判りませんが)適度に高音がカットされているけどすごく綺麗な音が出るアンプがいいなぁ、と考えました。

 

ネットで仕入れた情報によれば、真空管アンプには、大きく分けて

  • シングルアンプ 
  • プッシュプルアンプ

の2つがあるらしく、それぞれの特徴としていろんなことが書いてありますが、どれも定性的な言葉であまりピンときませんでした。

大まかな傾向として、シングルアンプは小出力でプッシュプルはそれより大出力が取り出せる、ということらしいです。当然例外もいっぱいあるみたいですが。

 

そうすると僕の想定している用途はどうやらシングルアンプ に向いてそうです。

それに、前に聴いて気に入ったアンプ(たぶんコレ)がシングルだった(という事が最近わかった)ので、初めてのアンプ作成はシングルアンプで行きたいと思います。

 

 

シングルって、なんかこう、いい響きですね。

なんとなくシンプルな感じがして、オッカムの剃刀とかカール・セガーンじゃないけど、シンプルな構成と回路を使ってお気に入りの音を出すとか、なんだかデキる奴、って感じで好感が持てます。

  

 

まぁ、ひとくちにシングルアンプ と言っても、三極管や五極管、三結や超三結とか、2段、3段増幅、A級、B級、AB級、などとゆー枕詞が色々つくらしいということを知ったのもこのころです。

なるほどさっぱりわからん。

先は長いのである。

 

 

とまぁこんな感じで続きます。