管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

EL34 三結シングルアンプの制作 その1

  

真空管も決まったことですし、題名を変えてみました。

今回から新シリーズ。えw

 

 

そんなわけで、うっかりヤフオクで落としてしまったEL34Bの方が先に手元に届きました。

ebayで買った方は、まだ海外の税関を通過していないみたい。

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手元に届いたEL34B

 


僕個人にとっては、とりあえず真空管を買ってみる、という行動はプラスに働いた様です。

テンションだだ上がりです。

 

まぁそのぶん、新しいおもちゃを手に入れた子供というよりは、綺麗な女の子を眺めるおっさんという体で、にやにやしながら真空管を手にとって眺める40代という、端から見れば地獄の様な光景が繰り広げられたわけですが。

気にしちゃいけません、そんなもん。

 

さて、このEl34を使ってアンプを作るわけですが、何はともあれ設計しなくちゃ始まりません。手元に真空管が届いてテンションが上がっているうちに、まずは出力段から設計してみようと思います。

 

簡単に設計しようぜ的なことを言っていますが、そのためには真空管の原理や動作についてある程度(僕は最低限だけどねー)は理解する事が必要ですし、せめてオームの法則くらいは判ってないとムリ。

 

ここでごちゃごちゃと原理やらを僕が書くよりは、僕がどこを読んで学んだかを書いておきます。(そのうち書くかもしれないけど)

 

真空管の動作原理については林正樹氏のWebサイト内の「超初心者のための
真空管アンプの工作、原理、設計まで」を参考にさせていただきました。

特に「真空管の原理」のページは僕にとって判りやすかったです。

オームの法則やロードラインのお話は、ぺるけ氏の「私のアンプ設計&製作マニュアル」を読んで勉強させていただきました。

ページを公開してくださっている両氏には心から感謝します。

 

 

EL34三結シングルアンプ の出力段を設計してみる

さて、EL34の三極管接続(以下三結)で行くわけですが、EL34のデータシートを探してみたのですが、なかなか三結した時のプレート特性(Ep-Ip)グラフが見つかりませんでした。

 

あちこち探し回ってようやく、「ElectronTubedata」さんのサイトで見つけたのが このファイル。

PDFの9ページ目にプレート特性グラフが載っています。

おぉ、1ページ目には三結にした時の特性が載ってるじゃありませんか。素晴らしい!

 

それによると

プレート電圧:250v

プレート電流:70mA

バイアス:−15.5v

内部抵抗:910Ω

相互コンダクタンス:11.5s(mA/vで記載されてる。Sじゃないんだな)

増幅率:10.5

という事らしい。

 

え?

動作点の250vはいいとして、70mAも流すの・・?

うーん。

 

動作点で70mA流すと出力管は2本で140mA。

電圧増幅回路でどのくらい使うかまだわかんないけど、片系で5mA以上使うと、150mAのトランスの定格超えちゃう。

 

電源トランスは大きいしお高いこともあって、何となく適当に100mAくらいの小さいものを考えていましたが、これじゃ全く足りません。

この感じだとEl34を推奨条件でフルにドライブするには180mAくらいの容量が必要になりそうです。

さらに、出力トランスも、せいぜい5wクラスの小さいものを考えていたので、こちらも考える必要がありそうです。

 

EL34のプレート特性(Ep-Ip)グラフを見て、いくつか動作点の候補を考えてみます。

 

動作点260v40mAに置くと、この時のバイアスはおよそー20vになります。

電源容量的には都合が良いのですが、5kΩでも3.5kΩでも、ロードラインを引くとバイアスが深くなった時のグラフがかなり寝てしまい、出力の歪みが大きくなることが予想されます。250v40mAでもこの状況はあんまり変わらない様に見えます。

 

いろいろとポイントを変えてロードラインを引いてみたものの、電流が40mAだとどうにもこれだというポイントが見つかりません。

 

うーん。

・・・いやまて、そもそも40mAって話はトランスの定格を100mAに抑えたいところから始まった話なわけで。

ぶっちゃけこれがそれほど致命的な問題かと言えば、まったくそんなことはない。

だって全部これから作るんだし、手持ちの部品なんてまだいっこもないんだから。

要するに、トランスの定格を150mA、もしくは180mAにしてしまえば解決するじゃないか。

 

というわけで、電源トランスの電源容量を150mA〜180mAあるものと想定して一旦ここでは動作点を250v50mAあたりに置いてロードラインを引く事にしました。

負荷はとりあえず5kΩ/直流抵抗347Ωで設定。仮置きです。とりあえず東栄トランスのOPT-5Sを参考にしました。

この時のバイアスはおおよそで-18vくらいになりそうです。

欲を言えば260v60mAあたりに動作点を持ってきたい感じはありますが、どうでしょう。このあたりは実際に組み上げてみてからの調整でもよさそうです。

 

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EL34

うーん、やっぱりちょっと苦しそうなロードラインだなぁ。

ま、いいかぁ。なぁに、電流が足りなくて歪む様なら、もっと電圧も電流もあげてやればいいのさ(超適当)

ってことで、一旦これに決定。

 

真空管の動作としてはかなり余裕があると思われますから、少々電圧や電流が揺れても動くでしょうきっと。何かの拍子に爆発する様なこともないんじゃないかな。

 

ざっくり計算すると、

動作点:250v /50mA

バイアス:−18v(くらい?)

電圧降下:17.35v(東栄OPT-5S想定)

電源電圧:250v+17.35v+18v=285.35v

最大出力:(272×50)×0.001/8=1.7w

カソード抵抗:18v/50mA=360Ω

カソード抵抗消費電力:50mA×18v=0.9w

 

うーんどうなんだろう、全く自信がない。

まぁ、出力とかはおおよそこんなもんかな?という気もする。

 

 きっとこの設計もあっち行ったりこっち行ったりフラフラするだろうから、一旦はこれで行ってみよう。

 

つづく