EL34 三結シングルアンプの制作 その8
今回は回路について少し。
電源回路
今回作るアンプの電源周りの回路は、ざっくりこんな感じです。
ごちゃごちゃしている様に見えますが、
回路はそれほど難しくありません。
したがって、整流素子と切り替えスイッチ(リレー)の選択が合っていない場合はB電源の電圧は出力されませんので、スタンバイ回路として使うこともできます。
整流管の場合、インプット用のコンデンサをあまり大きくすることはできません。
この回路図では、整流管用インプットコンデンサの容量を450V/47μfに設定していますが、これだと5AR4くらいしか使えないので、もう少し小さなものにした方が楽しそうです。
例えば5U4GBの場合、RCAのデータシートを覗いてみると、インプットコンデンサの最大値として40μFを指定していますので、このままの回路だと差し替えができません。差し替えを考えるなら、22〜33μfくらいのコンデンサにしておくか、整流管の後に入っている抵抗をもう少し大きなものにした方が良いかもしれません。
続いて、チョークコイルからの出力をケミコンで受けて平滑します。
そのあと、抵抗2本による分圧回路があって、ヒーターバイアス用の電圧を作り出しています。
そこから左右のチャンネルに別れてそれぞれもう一段のRC平滑回路が入る、という形になっています。
整流素子の選択に使うリレーの駆動電圧は、ヒーター用の6.3V巻線を整流して作ります。初段のSRPPで使うヒーター線は65Vのバイアスをかけているので使用できませんから、EL-34側のヒーターから駆動用の電圧を取っています。
ヒータ用の6.3Vは、今回、全て直流化して使うことにしました(どーしても全段直流点火の三結シングルアンプってのをやってみたかった。理由?ただのロマンっす)
ショットキーバリアダイオードのブリッジで整流します。
使用するダイオードブリッジRBA-406Bのデータシートをみると、電圧降下VFは0.62Vという事ですので、整流直後の電圧は8.2V程度になりそうです。
NTCサーミスタの型番が5D-15になっていますが、これは5D-5の間違い。
このままだと、サーミスタの立ち上がりに70秒以上掛かってしまいます。5D-5であれば、20秒程度でヒーター電圧が正常値になるはず。
NTCサーミスタが温まった後の抵抗値はデータシート上0.35Ωとなっています。
初段SRPP回路の6H9C(6SL7)は、ヒーター電流が300mAで、これが2本で600mA流れますから、NTCサーミスタの電圧降下を計算すると約0.2Vになり、ここでの電圧は8V程度になります。
その次の抵抗を2.7Ωにしておけば、ここでの電圧降下は1.62Vとなりますので、出力される電圧は計算上6.38V。若干電圧が高めですが、たぶん実測では狙ったあたりの電圧になるかなと思っています。もし高く出る様であれば、抵抗を3Ωのものに変更すれば良いかなと。
同様の計算をEL-34側のヒーター線にも適用します。
こっちは1本で1.5Aの大食らいですので、NTCサーミスタでの電圧降下は0.53Vになり、この時点の電圧は7.6Vです。0.82Ωの抵抗を使うと、1.23V程電圧が落ちますので6.37Vと、こちらも同じ様な電圧にすることができます。こちらも電圧が高く出てしまう場合には、0.91Ωを使用します。
ダイオードで整流した場合に出力できる電流は定格の60%程度ですので、1つのタップあたり1.8Aくらいが限界になりますから、EL-34は1本あたりひとつの6.3V/3A巻線を使います。
ガンガン電力食わせて部屋のストーブがわりだぜ、ぐらいで良いのです、という事で気にしちゃいけません(笑)。
それにしてもこの電解コンデンサの数ェ・・。
まぁーデカいのばっかり、ここに書いてある回路の分だけでその数11本です。
センスのない私のこと、アクロバットな配置と配線になることが目に浮かびます。
大きなシャーシにしておいて本当に良かったと思う今日この頃です。
そんなわけで、シャーシの塗装をしながら、内部の部品配置と配線を考えることにしますかね。