管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

300Bシングルアンプの制作(その3 電源回路)

 師走ってさ、寒くて走る元気が出ないよね。

あぁ、そもそも師じゃないから問題ないのか。

 

繰り返し申し上げますが、このブログは初心者であるところの私が、試行錯誤と七転八倒した内容を備忘録として書いているだけで、誰かのお役に立つ情報とか載っていないと思いますので、間違っても私のアップした回路図そのまま追試するような危ない事はなさらない事を心から祈念するものであります。

 

さて今回は電源回路を考えます。

個人的にはアンプづくりの中で電源回路を考えるのが一番楽しいと感じています。

 

まずは出力管である300Bの動作ポイントを考えます。

WEから「WE-300B-technical-specifications」なる資料が公開されていますので、それを参照すると、動作ポイントの例として、下記の様な表が記載されています。

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今回は、この中から作例も多くあって実績のある350V/60mA/4kΩのデータを使いたいと思います。

とは言え、僕が手に入れる事が出来そうなアウトプットトランスに4kΩ負荷のものがありませんので、実際には3.5kΩ負荷で使う事になります。

出力としては7.5W程度が見込めるのじゃないでしょうか。

 

この時のバイアスは-74V。真空管の安全を第一に考えて自己バイアスとします。

従ってB電源は424V必要になります。

 

電源トランスは、ゼネラルトランスのPMC-3520HGを採用しました。

B電源巻線の定格350V200mAのトランスです。

電流は大丈夫ですが電圧にあまり余裕がありませんので、整流管ではなくダイオード整流を使うことにしました。

インプットはコンデンサ、フィルタにチョークとFETによるリップルフィルタを入れて残留リップルを出来るだけ抑え込む計画です。

 

 チョークコイルは休みの日にふらふらと出かけた秋葉原でTANGOのMC-10-200Dを発見して衝動買いしたものがあり、これを活用する魂胆です。

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春先に300Bシングルをぼんやり考えていた時に、うっかり勢いでTANGOのXE-20Sという往年の名機を手に入れてしまい、浮かれていた時に見つけたものですから、自分のお財布事情もよく考えずに買い込んでしまった逸品。

せっかくですのでこの際、有効に活用させて頂きましょう。

 

EFTリップルフィルタは、ぺるけ氏のwebサイトなどを参考にしながら、2SK3567を使ったフィルタを設計しました。

これは、B電源の立ち上がりを遅延させる目的もあります。

B電源の回路はこんな感じ

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Ltspiceでシミュレートした結果、B電源の立ち上がりはおよそ35秒程度になりそうです。

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恐らくこのままでも問題はないと思いますが、チョークコイルの後ろから左右のチャンネルに分岐してそれぞれにFETリップルフィルタを入れ、少しでもクロストーク特性の向上を図る予定です。

 

次に300Bの点火方法ですが、これは直流点火以外は検討しませんでした。

300Bの点火方法については、昔から様々な方が交流点火と直流点火の両方について語ってこられています。

僕の様な三下がこれに首を突っ込むのは百害あって一利なしだとは思いますが、敢えて理由を語るなら、直熱管は、ヒーターから電子が飛び出してプレートに向かっていくわけで、その土台?が交流で大きく揺すられている事を考えると、どうにも落ち着かない気分になるのです。

 

ネット上で諸先輩方の300B作例を拝見すると、直流点火の場合は5V巻線をショットキーバリアダイオードでブリッジ整流して10,000μF以上の大きなコンデンサで受けて、残留リップルが結構残っている状態で300Bを点火し、ハムバランサーを介してグランドに落とす形の回路になっている事が殆どです。

 

恐らく実用上これで問題ないのだろうと思いますが、そのまま真似するのもアレですので、今回のアンプでは、300Bのフィラメントは三端子レギュレータを使って安定化した5Vで点火してみようと思います。

ヒーター巻線の6.3VをRBA-406B(ショットキーバリアダイオードブリッジ)で整流し、22,000μFのコンデンサで受けると、8.1~8.2V程度の電圧が取り出せますので、これにNJM2396F05などの低損失(LDO)三端子レギュレータをかまして5Vを取り出します。

 

NJM2396は定格が1.5Aで、300Bの点火に必要な電流1.2Aからの余裕がありません。少々心配な所ではありますが、バラックで軽く実験してみた感じでは問題なく行けそうな感じでしたので、このままやってみようと思います。

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うまく行かなそうであれば、5V3AのLM232Tを使う事も考慮します。LM323Tは最低動作電圧が7.5Vでこちらは電圧に余裕がないので、これを使う場合は電源に下駄をはかせる必要があるかもしれません。

 

初段と次段、ドライバ段は傍熱管なので交流点火でも良いような気がしますが、前回同様に直流化したいと思います。こちらはレギュレータによる安定化は行わず、ダイオードブリッジとコンデンサで直流6.3Vを作り出します。

今回使用する真空管は12AU7と6SN7GT。フィラメント電流は1本あたり300mAですので、6本で合計1.8A必要になります。

 

6.3V3Aのヒーター巻線からダイオードで整流して効率60%でギリギリ行けるかな?というところです。これも実験してみてダメそうだったらまた別途考えます。

使用する電源トランスの6.3V巻線が3セットしかないので、出来ればこれでうまく行ってほしいところです。

 

という訳で、電源系全体の回路はこんな感じに設計してみました。

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素子の定数はまだまだ変わると思いますが、一旦これで。

次はアンプ全体の配置を考えます。

 

つづくのです。