300Bシングルアンプの制作(その7 音出しそして安定のハム退治と回路図)
「物事ってやつは、はじめはうまく行かないものでね、だが時間が経つと大抵のばあい、もっと悪くなるのさ」
こう語ったのは誰だったか
配線作業が終了し、音出しと相成りました。
まずは球を差さずに電源を投入して各部の電圧チェックです。
A電源の5V、6.3VはOKみたいです。B電源から分圧しているヒーターバイアスの電圧も75V出ていて大丈夫そうです。
B電源は、あれ?なんかおかしい、妙に電圧が高く出ています。
すぐに電源を切って配線チェック。
・・・あ、リップルフィルタのFET、ドレインとソースを反対に配線してます。早速FETをぶっ壊してしまいました。
もう一度フィルタ部分を作り直して 電源を投入、今度はOKです。
さて、いよいよ真空管を差して、ジャンクスピーカーを繋いで再度電源ON。
音楽ソースは画面の割れたスマホを繋いでAmazonMusicから出します。
ボリュームを上げていくと・・おぉ!音が出ています!
よっしゃー!やったぜ!
適当なポップスを数曲、15分程度音を出して、再度各部の電圧チェック。
特に問題なさそうでしたので、ここでいったん電源を切り、部屋のメインスピーカーとDACに繋ぎなおして再度音出しです。
CDプレーヤーの上に仮置き。さすがにでかいなー
うーん?
ジャンクスピーカーの時には気になりませんでしたが、50Hzと100Hzくらいのハムが出ています。
Fostexの12センチは小さいユニットの割に能率が良いので、これは結構気になります。
残留雑音をデジタルマルチメーターで測ってみると、3mVくらい出ています。えぇぇー
まぁ、自作の真空管アンプでハムが出るなんざ珍しくも何ともありませんので驚きはしないのですが、今回の回路は自分でも過剰投資じゃないかというくらい各電源の平滑には気を使いましたので、恐らく実装か、あるいは基本的な所で大きな間違いを犯していると思われます。
実際には、このハム退治には数日かかりましたが、結論から言えば複数の要因がありました。
・ヒーターバイアス用の分圧回路に使用している電解コンデンサが半田付けされていなかった為、初段で結構強烈なヒーターハムが発生していた
・入力からチャンネルセレクタ(ロータリーSW)、ボリュームと繋がってきたアースラインを、左右の300Bのフィラメントにつながっているアースラインの間に落としていた
・B電源のブリーダー抵抗(100kΩ)の半田不良
結局のところ、すべて基本的な所でミスしていました。
またこのハム退治の作業中に、ドライバ管のカソード抵抗の値を間違えて実装していたことにも気づきました。910Ωのところ、前段と同じ2.2kΩが入ってました。
実際にこの部分はSRPP型のカソードフォロアとして動いていますので、それ程大きな問題ではなかったのですが、自分でも何でこんな間違いを?という感じです。
なにはともあれ早めに気が付けて良かったかな。
なんだかんだと数日掛けて色々手を加えた結果、残留雑音は持っているデジタルマルチメーターでうまく計測できないところまで下がりましたので、恐らく0.2mV未満まで追い込めたかなと思います。
ハムはスピーカーに耳を近づけてもほとんど聞こえません。
一通りの実装の見直しを経て、改めて音を出してみれば、これまで使っていたEL34/6CA7三結シングルとは一段違う音になりました。
高音も低音もこれまでよりはっきり、くっきり聞こえます。一言でいえば「きれいな音」でしょうか。
高音も気持ちの悪い、耳に差し込んでくるような音ではなく柔らかくて包み込むような感じ、低音もズンズン出るのではなく、ジャズやクラッシックでコンバスの音を苦労しなくても聞き分けられるというか。
これが世に言う300Bの音か、と感動した次第です。
もちろんこれは出力トランスに使った平田TangoのXE-20Sの力も大きいと思います。
もはやめったなことでは手に入れる事が出来なくなってしまった往年の名機ですが、あと一組だけ手持ちがありますので、将来、自分の実力がもっともっと付いた時に改めて使ってみたいと思います。
現時点での回路図を載せておきます。
専門の方やベテランの方が見たら何やってんだよコレ―、という回路かもしれませんし、この回路の追試する事はまったくお勧めできません、はい。
もしどうしても一部なりと利用される場合は、すべて自己責任で行って頂きますように、心からお願いするものです。
細かい調整やチューニングはまだまだ続くと思いますが、まずは300Bシングルアンプは、これにて完成とします。
さーて、つぎはなにをつくるべぇー
つづくのだ
※ちなみに、現在の拙宅の使用機材はこんな感じです(いつの間にか充実したなぁ)
・スピーカー
Fostex FE126NV(エンクロージャはバスレフ12L)
AudioSpace LS3/5A(借り物)
・音源
AmazonMusic/CD
・PC
Lenovo X1 carbon(2015 Gen3)
・DAC
Stinberg UR22C
・CDプレーヤー
Denon DCD-1500SE