管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.超初心者が真空管アンプ作りに挑戦し、七転八倒するようす 2.趣味も仕事もほどほどに

球転がしとハムと不良品

 

真空管というガジェットには、不思議な魅力があります。

ガラス管の繊細さと内部構造が見えるが故の精密感や緻密感、点灯した時に柔らかく光るヒーターの灯り。

そして、互換性のある真空管を差し替えると、出力される音が変わるという面白さ。

メカメカしい見た目と、ほとんどのものは手のひらに収まるちょうど良い大きさ。

どうにもこう、我々男性陣の心(厨二病とも言うね)くすぐる要素が多く、収集癖を発する方が多いのも納得できます。

 

当然、僕も例外ではなく。  

2019年の年末から始開始した真空管アンプの制作は、2月末にどうにか完成し、音楽を奏で始めました。

その間、ネットで良さそうな球(ここで言う良さそうなとは、安くて見た目が好み、と同義である。あっはっは)を見かけてはポチり、秋葉原のショップに行っては衝動買いし、という始末で、手元に集まった真空管は気がつけば、

 

出力管

Tube Amp Docter(TAD)  :  EL34B-STR

Electro-Harmonix  :  EL34EH

Electro-Harmonix  :  6CA7EH

 

プリ管(GT)

ロシア軍謹製  :  6H9C

TUNG-SOL  :  6SL7GT

SYLVANIA  :  6SL7GT VT229

 

プリ管(mT)

Electro-Harmonix  :  12AU7

Electro-Harmonix  :  12AX7

 

整流管

曙光電子  :  5AR4

Electro-Harmonix  :  5U4GB EH

 

となっていました。

出力管が3種類にプリ管が5種類、整流管が2種類ずつです。

 

「そう、これは集めたのではない。いつの間にか集まってしまったのだよ」

とは、僕にあきれた様に冷たい視線を送る我が愛しの財務大臣への言葉です。

 

もともとは初段を12AU7あたりで設計していた頃、うっかり我慢できなくてmT管の12AU7を買ってしまい、その後12AX7→6SL7GTへと設計が変遷して行くわけなのですが、そのつど秋葉原真空管屋で衝動買いしていたらこうなりました。

 

→構想を練る

→使う真空管がどんなものか見てみたくなる

秋葉原へ行く

→現物見てると欲しくなる

→気が付いたら買っていた

この繰り返しです

 

我が家の財務大臣にその旨報告したところ、あなたばかなの?しぬの?とご下問賜ったのはまぁ当然の帰結であります。

 

ともあれ、せっかくいろんな球が手元にあるのですから、色々差し替えて、いわゆる球転がしというやつを試してみました。

 

まずは出力管について、3種類それぞれ差し替えしてみました。

アンプの電源を切った状態で真空管を差し替え、しばらく音楽を聴いて、電源を切って真空管とアンプが冷めるのを待ち、差し替えて電源を入れ直す、と言う手順です。

 

 

エレクトロ・ハーモニクスのEL34は有名球だけあって綺麗な音がします。自分の耳で聴いた感想でしかありませんが、全体的にフラットな音が出てくる印象です。

細身の真空管なので、若干シャーシの上が寂しく見えてしまうこと以外は文句なしと言えますが、その見た目が今のシャーシにマッチしていない(ように感じる)為、常用球とはなっていません。残念(笑)。

 

 

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TAD-EL34B-STR

TADのEL34B-STRは太管です。茶色のハカマにシールが貼ってあって雰囲気も良い感じです。

音は、と言えば、エレクトロ・ハーモニクスに比べて若干低音側が出る様に感じるかな?という程度で、殆ど違いらしい違いを感じることはできませんでした。

見た目がエレクトロ・ハーモニクスのEL34に比べて好みだったので、後述の6CA7EHがやって来るまでは常用球として使われていました。

唯一不満があると言えば、真空管をソケットに挿した時に真空管のプリントと内部の構造物が正面を向いてくれないことでしょうか。

 

 

エレクトロ・ハーモニクスの6CA7EHは、秋葉原のクラッシックコンポーネンツさんで現物を見てその形が気に入って買った球です。

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6CA7-EH

差し替えてみると、全体的に出力が少し上がっている様に感じます。

音は綺麗で文句ありません。低音が余分に響く感じもなく、高音がうるさい感じもなく、バランスの良い音がします。

 

太管でつくりもしっかりしている様に見え、大変にかっこいい真空管です。何より、ソケットに挿した時に内部の構造物と真空管のプリントが正面に来るのが素敵。

結果的に現在の常用球になったのですが、その理由は音がどうたらと言うものではなく、見た目が気に入ったからです。

 

正直にいえば、この3種類の真空管は、差し替えて劇的に音が変わった、という印象はなく、どれを挿しても大して変わらない、ならば見た目が気に入ったのにしとこう、くらいの感じです。

まぁ、構造的にも特性的にもそう大きく変わらない球といえばそうなので、当たり前なのかもしれませんが。

 

 

 

初段はロシア軍球の6H9Cを挿していたのですが、音出しから少しして、TUNG-SOLの6SL7GTを手に入れたので、初段の差し替えも試してみました。

 

そしたらすごいのなんの

すごいの!

ハムが。

 

真空管を差し替えてアンプの電源を入れて真空管が温まるか否かの頃から強烈なハムが聞こえてきました。

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コレが件のTUNG-SOL


特に左側のスピーカーから聞こえて来るハムはものすごいです。

真空管に指を近づけるとぶぉんぶおんと音が大きく変化しますので、誘導ハムなのでしょう。

一旦電源を切って、真空管の左右を入れ替えて再度テスト。

今度は右側のスピーカーからぶぉんぶおん。

左のスピーカーからも、右側程ではないですが割と大きなハムが聞こえます。

皆さんこういう状態になった時、どうやって解決してるんだろ。

 

とりあえず状況を整理すると、

  1. ロシア軍球の6H9Cでは殆ど全く出ないハムが、TUNG-SOLの6SL7だと強烈に発生する。
  2. 2本の真空管の両方からハムは出るが、片方がより強烈である。
  3. 手を近づけるとハムの大きさが変わる。
  4. 特にハカマのあたりに指を近づけるとハムは大きくなる傾向がある。
  5. 真空管のガラスを爪でコンコンすると、スピーカーからもコンコン聞こえるのでマイクロフォニックノイズもしっかり拾っているものと思われる。

なるほど原因がトランスなのかヒーターなのかはわかりませんが、何らかの誘導ハムを拾っていて、人体にも敏感に反応する状態で、マイクロフォニックノイズもありありと。

 

とりあえず出来る対策として、真空管をシールドしてやりたくなります。

ところが、GT管用のシールドケースって、どこにも売ってないみたいなんですね。

とりあえずこれじゃお話になりませんので、いったん真空管を取り外して保管です。

(その後しばらくして再度差し替えを試してみた時に、件の真空管から出力がまったく無くなっていたので、おそらく壊れていた、もしくは壊れてしまったのでしょう。残念ながらこの子はサヨナラです)

 

 

それからまたしばらくして、SYLVANIAの6SL7/VT229を手に入れました。

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SYLVANIA 6SL7/VT-229

これはJANコードが記載されている軍用管で、おそらく1945年前後の製造。ボトムゲッターのNOS品をebayで購入。1本2,000円程で買えたのでお安い方かと。

 

音はといえば、高音から低音まで綺麗に出てくれていて、いまのところ、この球の音が一番気に入っています。

差し替えたばかりなのでまだ何ともいえませんが、しばらくはこの球が我が家で活躍してくれそうな感じです。

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現在の初段