管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

2A3シングルアンプの制作 その3(設計)

前回のブログで書いた出力トランスの選定だが、結論から言えばゼネラルトランスさんのPMF-20WSⅡに決定した。

やはりシングルアンプは出力に余裕のあるデカいコアのトランスが良いだろうという思いがどうしても拭えなかった。デカい事はいい事なのだ。

電源トランスも同じタイミングでゼネラルトランスさんのPMC-180HGを購入してきた。

B電源用のタップは320V-280V-250V-70V-0-250V-280V-320Vの組み合わせ。電流容量は180mAだ。2A3のシングルなら十分な余裕がある。

 

さて、そろそろ増幅回路の設計的な事を始めたい。

出力段は2A3の標準的な使い方であるB電圧250V、自己バイアスでバイアス電圧-45V、プレート電流は60mAとする。カタログによればこの時のカソード抵抗は800Ωとなっている。

プレート負荷については、カタログ値は上記動作条件の時に2.5kΩで3.5Wの出力が見込めるという。今回は、この部分だけ標準から外して3.5kΩ負荷を使う。

ざっくりB電源電圧300V用意して自己バイアス駆動で動かしてあげればいい感じになりそうなので、それで行こう。

 

さて2A3シングルというと、大抵のアンプでは初段に12AX7当たりを採用してそのままドライバを兼ねる簡易な形か、初段FET+ドライバ段という2段構成をよく見かけるのだけど、300Bシングルアンプで味を占めたSRPP回路を今回も採用したい。

SRPP回路は真空管の数は増えてしまうものの、CR部品点数が少なく配線もやりやすい利点があり、それでいて動作はそれなりに安定しているし出力インピーダンスも低くて済むという利点がある。

 

ただし、2A3をSRPP1段で駆動しようとすると、どうしても初段に12AX7の様なハイμ管を採用する必要があり、これはこれで、いくらSRPPの出力が低インピーダンスだといっても2A3の入力容量が気になってしまう。

というわけで、今回もSRPPの2段増幅構成として、初段に12AU7、ドライバ段に一回使ってみたかったECC99を採用して回路を組んでみることに。

12AU7とECC99のSRPP2段構成では少々ゲインが大きくなりすぎるので、ドライバ段であるECC99の出力から初段に向けて局部帰還を掛けて気持ち調整する。

 

そんな感じでちゃっちゃっちゃーと回路設計したのが下の図。

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ヒーターは今回も全段直流点火を採用。

2A3だと交流点火しているアンプが多いと思うのだけど、個人的には安定した電源で直流点火した方が良い音に聞こえると思っている。2A3の交流点火も聴いてみたが、やはり騒がしいアンプという印象だったし、何よりハムがうるさく感じた。

 

初段と次段も同様直流点火だ。

傍熱管で直流点火なんて意味ないよと仰る方が殆どであり、おそらくそれは正しいのだろうけど、アンプを静かにしたければ初段の直流点火には十分な意味があるし、初段と出力段を直流にするならぜんぶ直流にしちゃえよ、となる。まぁ、こんな感じで僕が作るアンプはぜんぶ直流点火になっている。

 

あちこちの定数は暫定なので、実際に組み上げてからいくつかの場所はカットアンドトライで変更するかもしれない。

 

ここまでくれば、あとはシャーシ設計と加工、組み立てに配線で完成だ。

ちゃっちゃっちゃーと行きたい。