管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

300Bシングルアンプの制作(その2 妄想は続く)

またお久しぶりの更新です。

前回の投稿が8月。なんと4か月ぶりの記事となります。自堕落な管理人をお許し下さいませ。

なんだろう、春先に緊急事態宣言があってからこっち、今年は何もしないうちに過ぎ去ってしまった感が強いですね。実際にはいろいろしているし、それなりに忙しい筈なのですが。

 

さて、前回はネットで見つけたAikidoなる回路のお話でした。

これを、300Bのドライバ段に使えないかなという検討をしています。

 

とりあえず細かい定数はさておき、こんな感じの回路を描いてみました。

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6SN7-Aikido

球は手持ちにロシア製の6N8Sと各社の6SN7がそれなりにあるので、それを使う事にします。

とりあえず細かい事を考えずにLtspiceで動かしてみると、1v-p-pのサイン波入力時に8.5vp-pくらいの出力を出します。

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Aikido-Ltspice

 

ならばという事で、入力に8.5vp-pくらいの入力を入れてやると、

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Aikido-Ltspice2

およそ70Vくらいの出力が取り出せます。

CRの定数はもう少し詰める必要がありますが、取りあえずこの形でも300Bはドライブできそうな気がします。

出力ポイントをカソードフォロワー段の抵抗の上側にするか下側にするかでどの程度の違いがあるのかなど、色々と気になる点はまだまだあるのですが、細かいところはあとで考えるとして、次に初段を考えます。

 

先の回路から考えると、初段はゲインが10倍程度あればよい事になりそうです。

僕は真空管原理主義者というわけではないのですが、半導体によるアナログ増幅回路は経験がありませんので、まずは真空管でやってみようと思います。

 

 10倍前後の増幅率であれば、6SN7でもいいし、12AU7あたりでも良さそうな気がします。

既に2段目とドライバ段を6SN7に仮置きしていますので、ここは種類も豊富な12AU7にしてみます。

 

これも今年のコロナ禍で引きこもっている間にビンテージ球含めていくつか手に入れているので、完成後の球転がしを楽しんでやろうという目論見があります。

 

さて、これでアンプ全体の構成が見えてきました。

初段→CR→次段→直結→カソフォロ→CR→出力管

という全4段、うち2~3段目がAikido回路の構成です。

 

CR結合で時定数の事を考えると初段と次段も直結にしたいところですが、Aikido回路の振る舞いがよく判っていない事もありますので、直結にして電圧を押し上げるのもどうかと思い、ここはおとなしくCR結合とします。

 

ただこの場合、何も考えずにNFBを掛けると発振してしまいますので、もし、NFBを掛けるのであれば2段目に持ってきて初段は別途帰還を考える等の工夫が必要そうです。

とりあえず、現在のところオール三極管の構成ですので、負帰還が無くても綺麗に聞こえるアンプを目指して作ればよいかなと思います。

 

さてその初段の回路ですが、いろいろ考えられます。

何も考えず、12AU7の1ユニットを使って増幅するのが一番簡単です。ただし、この場合1本の真空管に入っている2個のユニットを左右の別チャンネルで使う事になり、クロストーク特性の悪化は避けられません。

 

ならば12AU7をパラレルで使ってみてはどうだろう?

パラレルの回路は入力容量が倍になってしまうので、高域特性の悪化が心配です。

それに、次段の回路は初段に大きな出力を必要とする回路ではありませんので、初段をパラレルにするメリットはほとんどなさそうな気がします。

 

結局、回路図をいじくりまわして色々考えているうちに何が良いのかよく判らなくなってしまったこともあり、Aikido回路がSRPPっぽい回路を2段重ねにしている事もあって、「ええぃ初段もSRPPにしちゃえ(適当)」となりました。

 

で、書いたのが以下の回路です。

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うーん、シンプル。

B電源は250Vに設定、入力は4ch切り替え で、カソードパスコンは手持ちに16V1000μFがあるのでそれを採用。

 

先程同様にLtspiceで動かしてみると、1Vp-p入力で9.2Vp-pくらいの出力となりましたので、これで良しとします。

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ここまでの回路に300Bの出力段を加えます。

アウトプットトランスは 、泣く子も黙る往年の名機、TANGOのXE-20Sを手に入れました。

 

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これを負荷インピーダンス3.5kΩで使用します。

動作ポイントは次回の記事で書きますが、350V/60mAに設定しました。

 

というわけで増幅部+出力部の全体像がこちら。

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こんな回路にするなら全段差動p-pでいいじゃないかという心の声が聞こえますが、いーんですよ、趣味でやってる事なのでw

無駄に球数の多いシングルアンプってのも面白いじゃありませんか。 

 

というわけで次は電源周りを考えます。

 

つづくのだ。