管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

EL34 三結シングルアンプの制作 その11

 

回路はこうなった

そんなわけで、現在の回路図はこんな感じに落ち着きました。

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El-34 SingleTubeAmplifire Circuit
 
電源トランスはゼネラルトランスのPMC-170Mです。
シリコンダイオードは290Vタップを、整流管は320Vタップを使用し、同じオクタルソケットを共用してリレーで切り替えて使用します。
インプットコンデンサは、整流管を使用している場合は33μF、シリコンダイオードの時には100μFで受けて、チョークコイルに渡す回路にしました。
 
リレーのデフォルトがシリコンダイオード側なので、スイッチを整流管の側にして電源を入れると、電源を入れて3秒くらいしてからカチッとリレーが切り替わります。


チョークコイルはゼネラルトランスのPMC-1030H(10H/300mA)です。
アンプの使用電力からすると明らかにオーバースペックなのですが、アウトプットトランスと外形を揃える意味もあってこれを採用しました。
結局出力トランスとチョークコイルにはカバーを掛けてしまったので、外形を揃える事にあまり意味はなく、やっぱりデカすぎた、と言う結果ですが、まぁいいでしょう(笑)。
チョークコイルからの出力を450V/100μFで受けて初段の平滑をします。
このポイントで抵抗2つで分圧してヒータバイアスの電圧75Vを作り出しています。
 
このポイントでのB電圧が403Vと、思っていたより高く出たので、500Ω/10Wのセメント抵抗で電圧を落としてから左右のチャンネルに振り分けて、470Ω/3W+450V/120mFの平滑回路を入れてB1電源の335Vを作っています。
一瞬、500Ωのところにもう一段平滑用コンデンサを入れる誘惑に駆られましたが、やめておきました。
 
出力トランスはゼネラルトランスのPMF-10WSです。
カタログスペックでは直流巻線抵抗283Ωとのことで、実際ここでの電圧降下はおよそ14v程でした。
 
出力管はEL-34/6CA7を3結にしています。
プレート電圧は322V、カソード抵抗を510Ωとして、バイアス電圧は−22Vになりました。プレート電流はおよそ50mAです。
 
初段の電圧増幅管は6SL7互換のロシア軍用管、6H9CをSRPP回路で使っています。
初めて使う上、他の6SL7を使用した事がないので、音の良し悪しはわかりません(笑)
 68kΩ+450V/120mFでB2電源を作り、上段に約270Vのプレート電圧を印加しています。
 
この回路での増幅率はおよそ30倍ほどとなり、後段のEL-34のドライブには少し不足かな?と思ったのですが、後述の通りNFBを掛けないで使っているので今のところ問題ありません。
 
ダメな時はプリアンプ入れればいいかなと
 
カップリングコンデンサは450V/0.1mFのフィルムコンデンサを使用しています。 
 
入力は4接点2回路のロータリースイッチで切り替えられる様にしています。
 
3チャンネル分、RCAコネクタをシャーシに設置し、残る1つは空きチャンネルにして、将来的にBluetoothレシーバを接続したいと考えています。
 
ヒーターは整流管を除き、全て直流点火にしてみました。
 
6.3V/3Aタップをショットキーバリアダイオードのブリッジで整流して、5ΩのNTCサーミスタを入れてから16V/15000mFの電解コンデンサで受け、EL-34は0.91Ω、6H9Cは2Ωの抵抗をかまして再度16V/15000mFの電解コンデンサをいれて平滑しています。
 
ヒーターの部分での電圧は6.1V〜6.3Vと、ほぼ定格通りの電圧になりました。
 
実装的には、この部分がスペース的な問題もあって一番面倒でした。配置と配線作業を最後の方に回してしまったという手順上の失敗もありました。
 
 
テスター以外の測定機器を持っていませんので、歪み率などの計測はしていません(キリッ!)
まぁ、音を聞いている限り綺麗にスピーカーを鳴らしてくれている様に感じるので、OKです。(オシロスコープほすぃ)
 
 
外観的にはフロントパネルの工作がまだですし、内部の部品配置や配線も暫定なところが残っており、まだ色々と手を入れてみたいなと思う所はありますが、一旦これで完成とします。
やったぜ。
 
 

音は出た。そして。

という訳で、我が人生初の自作アンプは見事に音楽を奏でてくれました。
それも、思った以上に良い音です。
 
とは言え。
まだ手を入れるべき所は残っています。
 
まず、ここまで音を出しておいて今更ですが、なんとシャーシにアースを落とす事を忘れていました。
回路図にE.P.を書き込んだにも関わらず、です。
ふと見ればアースラインがどこもシャーシに繋がってない。完全に浮いてるw
 
これは我が事ながらひっくり返りそうになりました。
落ち着いてチェックしたつもりでしたが、配線終わったぜー!と浮かれていたんですね・・・。
 
アースラインにした1.2mmのスズメッキ線の、信号入力部と初段の間からシャーシにアースを落として事なきを得ました。
とは言え、これで何か音が変わったのか?というと、「よくわかんない」というのが実情でした。
まぁきっと、ノイズを拾いにくくなったんだよ、と納得する事にしました。
 
次にNFBですが、どうにもうまくいきません。
NFBをかけると、どうやらこのアンプの音の良さをスポイルしてしまう方向に働いてしまう印象です。
 
テスター以外の測定機器は、オシロ含めて持っていませんので、いくつかの抵抗(15kΩ〜1kΩ)をカットアンドトライで接続して試してみたのですが、NFBをONにするとどうしても全体の音がぼやけた様に聞こえてしまいます。
抵抗に並列で小容量のフィルムコンデンサを抱かせてみたりもしましたが、あまり良い結果にはなりませんでした。
 
これは、試聴対象の音楽ジャンルにもよるのかもしれませんが、少なくとも今のところ、このアンプにNFBをかけるメリットが見いだせていません。
とりあえず暫定措置として、出力トランスから初段のカソードへ配線し、1.5kΩ、2.2kΩ、OFFの3つを切り替えることができるスイッチを入れています。
普通に音楽を聴いている限りはOFFで良いみたいです。
 
うーん。色々なサイトで、NFBは魔法の様な効果があるんだぜ!的な記述があるので、劇的に音が変わって良くなるものだと期待していたのですが、僕のアンプにはいまいち当てはまらなかったみたいです。
こういうものなのかな?
それとも、回路が間違ってるのか・・。正直良くわかりません。
 
整流管も試してみました。
5AR4と5U4GBを試しましたが、どちらかと言えばシリコンダイオードよりもこちらの方が好みの音になりました。
今は見た目重視wで、エレクトロハーモニクスの5U4GBを挿して使っています。
 
外観はこんな感じになりました。

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エレハモの5U4GBに、TADのEL-34B太管。
いいねぇ。
太管が並ぶ姿ってなんかこう、情感に訴えてくるものがあります(え?僕だけ?)
 シャーシは汚いし、フロントパネルもないし、加工精度もダメダメだけど、自分が良ければいーんです。
 
 
それにしても。
あぁ、音楽のある生活って素晴らしい。
部屋で静かに音楽を聴く、なんて事はこの15年以上遠ざかっていました。
 
休日に好きな音楽をかけてのんびりし、平日仕事から帰って来て寝るまでのひと時、ジャズやソウルを聴きながらナイトキャップモルトを嗜むとか。
おぉ、なんと言う贅沢。
 
アンプを設計して作ること自体もものすごく楽しかったのですが、出来上がったアンプを眺めながら贅沢な時間を過ごすと言うのは、思った以上に心を豊かにしてくれるという事に、改めて気づかされました。
 
いいぞ、すごくいい。
俺の作ったアンプ最高♪
 

・・・とか、思っていたのですが。

 
 つづく。