管球自在 かんきゅうじざい

管球自在[かんきゅう-じざい] 1.初心者が書く真空管アンプ製作記 2.自由な設計による真空管アンプ

EL34 三結シングルアンプの制作 その2

 

増幅部設計の前に

出力段の設計はなんとなくゆるーくふわっと決まりました。

そんな訳で、前段の増幅部の設計に入りたいと思います。

 

この辺りはまだ理屈を理解できていないので、とりあえず数式に当てはめただけです。

猛烈に間違ってる可能性が高いので、取り扱いには細心の注意を要します。

 

さて、出力段への入力信号は、バイアスが-18vなので、36vp-pとしておきます。この時の出力はおよそ1.7wです。

 

従って、CD等のオーディオソースからの入力信号を、この36vp-pまで増幅してあげれば、1.7wの出力が得られることになります。

 

それじゃあ、オーディオソースの信号レベルってのはどのくらいなんだ?と情報を探してみると、色々な情報が出てきたのですがはっきりしたことがなかなか判らずに混乱してしまいました。

 

どうやら、CDプレーヤーのスペックに書いてあるダイナミックレンジというやつがソレっぽく、90dbとか100dbとか書いてあります。

んで、この意味がまたわかりにくくて・・、まだしっかり理解できていないのですが。

 

まず、オーディオ機器用に設定された電圧の単位があり、dBuというのだそうです。

コレは何かというと0.775vを0dBuとして設定したものなのだとか。

もう一つ、よく使われる単位があってこれはdBVといって、1v(ボルト)を基準(0dBV)としてデシベルで表したものだそうです。

 

んで何が違うの?というと、どちらも音響機器の信号受け渡しに使われる単位みたいで、業務用(プロ用)と民生用で使い分けられているみたいです。

それぞれのスタンダードみたいなものがあって、

  • -10 dBV、一般機器用(CDプレーヤーとか)
  • +4 dBu、プロ機器用(ミキサー卓とか)

という感じらしいです。

僕はプロ用の機材を使う予定はありませんから、必要な数字は−10dBV。

計算式はdBV=20×log10(v)なので、0.31vとなります。

 

ここで、先に出てきたダイナミックレンジの話に戻ります。

ここでいう90dbとか100dbというのは、CD等の機器が使える最大のビット数を使い切った時の出力のことを言うため、常にコレだけの出力が出ている訳ではない、と言うことの様です。

平均的なCDプレーヤーの出力は90db前後なので、出力される最大実効値はおおよそ2v(rms)となります。なるほどよくわからん。

 

増幅部の設計

その1 ゲイン

よく判らんなりに、常にフル出力されている訳でもない2Vrmsの入力を前提にするのがイマイチだ、と言うことはわかります。従って今回は、0.5Vrmsの入力があった時に最大出力が出る様に設計することにします。

 

出力段のEL34の入力信号は36vp-pなので、0.5Vrmsの入力をここまで増幅する回路を考えます。

Vrmsは実効値なので、2√2を掛けてやってp-pに直します。

そうするとおよそ1.41Vp-pになります。と言うことは、増幅部に必要なゲインとしては36/1.41=25.53となり、25〜26倍の増幅率を持てば良いことになります。

 

その2 負帰還(NFB)

続いて負帰還について考えます。

なんのノウハウもなく初めて作る真空管アンプが、まともな周波数特性を持ってる筈だ、などと考えるのは阿呆のやることですので、僕的には負帰還は絶対だろうと考えています。

ロータリースイッチなどで帰還量は調整できる様にしてもいいとは思いますが、一旦ここでは、一般的な-6db程度の負帰還を行うものとして考えます。

 

-6dbの負帰還をかけた時、ゲインは半分になってしまいますので、26×2として、増幅部に必要なゲイン(増幅率)は56倍となります。

さぁ、増幅部に必要な最初の数字が出ました。

 

 

その3 ゲインは出た。で、どうする 

さて、56倍です。数字が出ました。

56倍の増幅率を持つ増幅部の設計。増幅という言葉がいっぱいで微妙です(俺基準)。

 

高μの3極管を使えば単段でも到達できそうですし、12AU7の様な低μ管を2段にすることもできそうです。増幅部が2段になってしまうと、NFBをかけた時に不安定化しそうですので、このあたりは悩みどころです。

 

増幅部の2段直結回路を考えてみましたが、EL34側の電源電圧がそれほど高くない(280v想定)の為、少し難易度が高そうです。

初心者だし、ここは素直に単段増幅にしておくのがいいかな。

 

単段増幅の場合、12AX7あたりの高μ管が候補ですが、出力インピーダンスが高くなるのがちょっと気になります。どーするべぇかなー、と考えることしばし。

アンプ全体を三段増幅にして、NFBを2段目に入れて初段は単段で帰還回路にする?など、今の僕のレベルからすれば中二病的な事も考えました。

 

SRPP回路についての記述にたどり着いたのがこの頃です。 

ぺるけ氏のこのページによれば、「SRPP回路は、増幅のメカニズムに関しては、通常の抵抗負荷の電圧増幅回路そのものなのですが、出力を取り出すポイントが上側管のカソードであるということで、出力インピーダンスを低くすることができる回路となっています」

ほーなるほどー。

 

今回作成するアンプは、12AX7によるSRPP回路の増幅段を採用することにします。

 

また、ぺるけ氏のページに実測データが掲載されており、誂えたかのごとく以下の情報を手に入れることができました。

 

12AX7SRPP回路動作条件
Eb=225v
Rk=1.5kΩ
Ip=0.7mA

Gain=56.1(Load Impedance100kΩ

まるで誂えた様な数字じゃないですか、やだー。

最初からこのデータを使うつもりだったんだろうって?

やだなぁそんなことないですよー偶然ですってばー。

 

※SRPP回路についてぺるけ氏のデータは本当にただの偶然です。
※偶然であってもラッキーではありますので、がっつり
参考にさせていただきますとも。もちろん!

 

というわけで、増幅段はざっくりこんな感じで行ってみます。

細かい回路の数値については、今後追い込んでいく、という事で。 

 

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12AX7 SRPP回路

 

流石に真空管はEAGLEのライブラリにないだろうと思っていたら、あっさりと見つかってちょっと驚きました。

PCBを作るわけじゃありませんが、回路図描くのが楽になります。

 

というわけで、次回は電源の設計です。